木暮正夫の児童文学「かっぱ大さわぎ」「かっぱびっくり旅」を映画化

遠野の河童橋

映画「クレヨンしんちゃん」シリーズ6本の脚本・監督を担当し、世代を問わずに幅広いファン層から賞賛を受けた原恵一が、木暮正夫の「かっぱ大さわぎ」「かっぱびっくり旅」を原作に、5年の製作期間をかけて完成させた「河童のクゥと夏休み」。

現代に甦った河童と少年の出会いを通じて、友情、家族、思いやりなど、現代の家族が失いつつある大切なことを気付かせてくれだけでなく、環境問題、いじめ、マスコミ報道のあり方なども社会問題をも交えた、ほろ苦くも爽やかな作品です。

子供だけでなく、大人からも高い評価を受けた本作品は第11回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞を受賞、また第81回キネマ旬報ベストテンにも選出されました。

本作品の原作をアニメ化して世に送り出したいと長年切望していた原監督。きっかけとなったのは人気漫画作品のアニメ化が相次いでいた1980年代。「この流れが続けば、アニメ化できるのは漫画作品だけになってしまうのではないか」という強い危機感を抱いた監督は、児童文学作品に没頭し、出会ったのが本作の原作の一つである小暮正夫「かっぱびっくり旅」でした。

小暮氏からアニメ化の承諾を得るために自宅を訪ねた際、「クゥが再び世に出るのなら、どんな形でも」と、アニメ化に際しての、内容の大幅な脚色の許可も得ることができました。

本作品では原作から大幅な変更が加えられているため、ストーリー展開や舞台設定(群馬県の架空都市から東京都東久留米市へ変更)が異なっています。そして、登場キャラクターの心情も現代社会が抱える問題を映し出すためにより緻密に描かれています。

主人公の康一たちが住む東久留米の町並みや田園風景、黒目川周辺、河童伝説が今なお残り、物語で重要な意味合いを持つ岩手県遠野市でのロケハンも行い、美術設定も現実の世界を色濃く反映させることに成功しました。

声優の起用に際しては、原監督自らが選考を行い、芝居の巧さよりも自然な子供らしさを重視した結果、プロの声優よりも子役やタレントを中心としたキャスティングになりました。クゥの訛りのある言葉は、木暮氏や原監督の出身地でもある群馬県付近の方言である群馬弁に近いものとなっています。