日本の家族が失いつつある大切なことを思い出させてくれます

家族愛、いじめ問題なども重要なテーマ

楽しみな夏休みを間近に控えたある日、東京都東久留米市に住む小学五年生の上原康一(声:横川貴大)は学校からの帰り道に大きな石を見つけた。家に石を持ち帰った康一がその石を水で洗おうとすると、なんと石の中から幼い河童が現れたのだ!

驚く康一だったが、愛嬌たっぷりのこの河童をその第一声「クゥ」にちなんで「クゥ(声:冨澤風斗)」と名付けることした。康一たちと同じ言葉を喋るクゥは過去数百年間も、地中に閉じ込められていたのだという。

伝説上の生き物である河童を前に康一の家族は驚きを隠せなかったが、父・保雄(声:田中直樹)はクゥを家に置くことに賛同し、会社を早めに切り上げて、クゥの相手をすることにした。

母・友佳里(声:西田尚美)はクゥを気味悪がり、当初、家で一緒に暮らすことを反対していた。しかし、買い物で揃えた食料を冷蔵庫に入れる様子を、クゥから狩りで食料を取って来た凄腕の狩人と勘違いされたのがきっかけで、クゥとは打ち解けてゆくようになった(本編ではカットされ、限定DVDボックスのみに収録)。

妹の瞳(声:松元環季)もクゥが家に来て以降、自分が余り構ってもらえないのが面白くなかったが、徐々に理解を示すようになる。

康一と寝食を共にし、クゥが得意な相撲を一緒にするなど家族の一員として生活することになったが、周囲の過度な反応を案じてクゥの存在は家族だけの秘密にしようと約束する。楽しく生活をしていたそんなある日、クゥは仲間の河童がいるところに帰りたいと言い出した。数百年間、地中に閉じ込められていたクゥは外の世界がどう変貌しているかを知らないのだ。クゥに現在の外の様子を知ってほしいと考え、彼をこっそりと家から連れ出す。

クゥは周りに人間しかいないこと、仲間の河童が誰一人(?)居ないことに驚き、意気消沈してしまう。その様子を見て心を痛めた康一は他の河童たちをを探すために、河童伝説が今なお語り継がれている遠野(岩手県遠野市:河童橋で有名)へ一緒に旅へ出るのだった…。

康一にとっては、親元を離れて初めて自分で行う旅だった。雄大な自然に囲まれた遠野は河童が暮らすには最高の環境に思え、康一たちの期待は高まる。クゥも綺麗な川で久々に自由気ままに泳ぎを堪能するが、仲間はどこにも見当たらない。街の人が「河童を捕まえたら1000万円!」という話を聞いただけで旅を終えることになった。

遠野から家に戻ってみると、近所にはマスコミの記者がたくさん押し寄せていた。そのなかにいた写真週刊誌の記者の一人が、噂の「上原さん家の河童」を見せろと、強引にクゥを見つけて写真を撮り始めた。あっという間に世間にその存在を知られてしまったクゥ。家族の周囲も騒がしくなり、康一は、クゥの存在が原因で友人達から疎外されるようになってしまう。また父の保雄は、サラリーマンの悲しい性なのか、クゥをテレビ出演させてほしいという取引先からの依頼を上司から伝えられ、断りきれなかった。

クゥはお世話になっている一家のためなら、と出演を承諾するが、収録当日、番組にゲストとして出てきた男を見てとても驚く。その男は遠い昔にクゥの父親を殺した武士の末裔だったのだ。およそ三百年前、魚捕りの名手だったクゥの父親は、河童が多く住む「竜神沼」の干拓を止めるように、通りがりの侍に懇願するが、刀で斬られ死んでしまったのだ。

恐怖に耐え切れなくなり、収録スタジオから飛び出したクゥだったが、周りは知らない人、人、人…。パニックになったクゥは人のいない場所を求めて東京タワーを登り出すが、真夏の日差しで疲労困憊のクゥは頂上で動けなくなった。タワーから東京一帯を見下ろすクゥは「静かなところなんてどこにもない。ここは人間の巣だ。もう、くたびれた。父ちゃんのところへ行きたい...」と呟く。

東京タワーで保護されたクゥを自宅に連れ帰った康一は、以前から想いを抱いている同級生の菊池紗代子(声:植松夏希)の助言を受けて、クゥをマスコミに晒してしまったことを深く反省する。そして今でも河童が暮らせる沖縄のある地域にクゥを連れて行くことを決意するのだった…。

作品で登場する岩手県遠野市は河童のふるさととして有名です

カッパ淵

日本民俗学の父、柳田國男の「遠野物語」に河童の伝承が多く見られるように、岩手県遠野市は河童にちなんだ伝承が多く残されています。同市では、これらの伝承をもとに、至るところに河童像を設置しており、JR遠野駅に着いた瞬間から彼らの歓迎を受けることになります

駅前の広場には「河童太郎像」、三体の河童と一体の子河童が設置されている「かっぱ池」があります。駅舎の屋根にも像がのせられていますし、駅から右に歩くと、ポストの上には木造の像があります。

また、駅前の交番も、建物全体が、河童の顔になっているという徹底振りで、交番横の遊歩道の路面には「かっぱの足跡」があります。

遠野の観光地として有名なのは、河童伝承で有名な「カッパ淵(写真参照)」と「常堅寺」です。遠野観光協会では、団体向けの「カッパ探求コース」として、道の駅「遠野風の丘」→伝承園→カッパ淵・常堅寺→たかむろ水光園というコースを提示しています。また、同観光協会では、「カッパ捕獲許可証」を販売しています。